脳の状態を良くしたり、脳の健康を維持するために栄養は欠かせません。
健康寿命という話題も取りざたされ、年を重ねていくときに認知症などの脳の病気の予防に気をつかう人が多くなりました。
また、パソコンやスマホ(スマートフォン)が広く普及し脳をしっかり働かせる必要性も増えてきました。
脳に良いとされる健康食品やサプリメントも多く販売されていますし、脳の健康維持、状態アップに注目が集まっています。
では私たち脳の状態をよくするためにはどのような栄養素を摂取することがよいのでしょうか。
脳を快適な状態に保つということ
脳の快適な状態を維持するには、以下のように脳環境を整備しておく必要があります。
- 神経細胞の状態が良好に保たれている
- 神経伝達物質がきちんと作られている
- 血管と血液の質がよく脳全体にしっかりと栄養が届けられている
神経細胞の状態が良好に保たれている
脳のなかでは神経伝達物質という情報を伝達するための化学物質がかけめぐっています。
神経細胞の状態、例えば髄鞘(ずいしょう)<ミエリン鞘ともいう> とよばれる部分が良い状態だと神経伝達物質がスムーズに流れます。
神経細胞を良い状態にするには、
材料となる栄養素と材料を組み立てるのに関わる栄養素
をしっかり取ることが重要です。
神経伝達物質がきちんと作られている
神経伝達物質で働きがわかっているのは20種類ほどと言われています。
記憶や学習に重要な役割を持つのが、
アセチルコリン、グルタミン酸、ドーパミン
など。
精神的にリラックスしたり抗ストレス作用に働く、
セロトニン、ベータ-エンドルフィン、ガンマ-アミノ酪酸
などがあります。
アルツハイマー型認知症の認知症の患者には記憶の神経伝達物質のアセチルコリンが少ないことが定説となっています。
神経伝達物質も神経細胞と同じように、材料となる栄養素と材料の組み立てに関わる栄養素を取ることが重要です。
血管と血液の質がよく脳全体にしっかりと栄養が届けられている
血管と血液の状態がよいと、神経細胞に必要な栄養が届きやすくなり神経伝達物質の合成にもよい影響があります。
逆に血管と血液の状態が悪いと栄養が脳全体に届きにくくなってしまいます。
血管と血液の状態がよくないということは、脳の健康のみならず心臓など体のさまざまな部分の健康に不安が出てくる恐れもあります。
さらに血管の状態が悪くなる動脈硬化が進むと、脳血管障害と呼ばれる脳梗塞や脳出血、また、心筋梗塞、心不全、大動脈解離など命に危険が迫ってくるのです。
脳の状態を良くする注目の栄養素
脳を快適な状態に保つためには、神経細胞、神経伝達物質、血管と血液に必要な栄養素を取ることが重要です。
とくに以下の栄養素は効果と安全性がかなり確立されているため、脳の健康維持、記憶力増進、認知症予防を目的にすると、積極的に取った方がよいでしょう。
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- DHAなどのオメガ3系脂肪酸
血管、血液をきれいにする
脳関門を通過できるため脳血管にも働く(DHA)
シナプスの形成を促進し脳内の情報伝達をスムーズにする(DHA)
- DHAなどのオメガ3系脂肪酸
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- ホスファチジルコリン
記憶の伝達物質アセチルコリンの材料になる、神経細胞のミエリン鞘の材料になる
- ホスファチジルコリン
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- ビタミンB群
アセチルコリンなどの神経伝達物質、シナプスを作る神経細胞のミエリン鞘を組み立てる(合成する)
- ビタミンB群
ビタミンB群をセットで取る理由
ビタミンB群はセットで取った方がよい栄養素です。
例えばビタミンB12と葉酸は細胞の設計図とも言われる核酸の合成に深く関わっています。
このような核酸の合成以外にもビタミンB群は連携して働き、体を作るさまざまな物質の組み立てなどに関わっているので、セットで取った方がよいのです。
脳に良い栄養素まとめ
最後に脳の状態を良くするために効果的な栄養素をご紹介します。
※青字にしてあるのはとくに重要と考える栄養素です
オメガ3系(n-3系)脂肪酸
リノレン酸、EPA(IPA)、DHA
リン脂質
ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルセリン
アミノ酸
アミノ酸スコア100の良質なたんぱく質
必須アミノ酸
ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン
ビタミンB群
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12、葉酸、ビタミンB6、ナイアシン(別名ニコチン酸、ニコチン酸アミド)、パントテン酸、ビオチン
抗酸化物質
フェルラ酸、ビタミンE、ビタミンC、コエンザイムQ10、イチョウ葉エキス、アルファリポ酸
ベータカロテンやリコピン(リコペン)やアスタキサンチンなどのカロテノイド
カテキンやアントシアニンやクルクミン(ウコン色素)などのポリフェノール