認知症を予防するために毎日の生活に取り入れることができる方法はたくさんあります。
現在認知症は改善のための明確な治療法が確立されていませんので、予防をするということが非常に重要です。
誰しも年を取ると記憶が悪くなるのは当然のことで仕方がありません。
ですが、楽しかった思い出が消えていく、友人や家族など大事な人を認識できなくなるというように症状が進行していくと本人そして周囲の人までが哀しみと大きな喪失感に包み込まれてしまいます。
早い段階、つまり若いうちから予防に取り組むと認知症が発症しにくくなることも分ってきていますし、認知症の手前の段階とされる軽度認知障害もトレーニングや生活習慣を改善することで認知症に進まなくなることも分ってきています。
40代、50代でも認知症の予防に取り組むことに早過ぎるということはないのです。
60代、70代、そして高齢の方でも日頃の生活で改善した方が良い部分は改め、さらに意欲を持って効果的な予防方法に取り組めば、認知症を遠ざけるとともに記憶力の低下を防ぐことにも繋がります。
認知症予防のために誰でも手軽に取り組めることを中心にピックアップしましたので参考にしてみてください。
食生活、栄養を見直す
食事は認知症の予防において最も取り組んだ方が良いことの一つです。
なぜなら食事から摂取する栄養が体の組織の修復、血流、自律神経の調整、免疫の調整・活性化など身体のすべてに影響を与えているからです。
摂取する栄養で認知症を引き起こす原因となる病気を発症するリスクが左右されます。
私たち個人個人が必要とする栄養の量はまったく同じではありません。
自身の体の状態と普段の食事を照らし合わせて、必要な栄養を摂取することが重要で、健康食品やサプリメントを活用するのも効果的です。
料理をする
料理は五感をフルに使う行為です。
献立を考え、食材を調達し切るなど下ごしらえをする。
さらに調理の時には味を想像しながら、火のとおり具合・香り・味を目・鼻・口を使って完成まで持っていく。
火の強さや調味料を加減したり、何品か準備する場合は出来上がりの時間を計算したり、さらに料理に合う食器を選んだりと、料理は脳を高度に使う作業になります。
このように料理は脳のさまざまな部分に刺激を送ることができる行為です。
脳が刺激され脳への血流増加も期待できますので、料理は認知症の予防におすすめされています。
作ったことが無い料理にチャレンジしたり、思いでの味を再現したりするとより脳への刺激が大きくなると考えられます。
持病を治す・骨折を予防する
糖尿病、高血圧、高脂血症、さらには歯周病などの生活習慣病は認知症のリスクを上げると言われています。
認知症のリスクを上昇させるような病気を抱えている場合は、その病気を改善することが重要です。
生活習慣病は、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」とされていますので、正しい生活習慣を身に付けること、そして時々見直しながら生活することがポイントです。
また、高齢者が骨折し歩けなくなることで認知症を発症するケースも多くあります。
まずは住まいをバリアフリー化すると転倒防止の可能性が大いに高まります。
外出時には段差や階段があるところでは注意しなければいけません。
慣れている道でも思わぬ出来事が起こりかねますので気を付けましょう。
また、転倒を防いだり、骨を強くするためにも筋肉はとても重要で、筋肉のためには運動と栄養が必要です。
認知症を予防するとなると脳に意識が行きがちですが、基本的な体作りも非常に重要なのです。
虫歯予防・歯の治療
上記の持病を治すでも触れましたが、歯を健康に保つということが認知症の予防になるということが分かってきました。
東北大学大学院が発表した、70歳以上の高齢者の残っている歯の数と認知症との関連についての調査によると、健康なグループに比べて認知症の疑いがあるグループは残っている歯の平均本数が少なかったとのことです。
さらに残っている歯が少ない人ほど、記憶や意志、思考に関する脳の部位が小さくなっていたそうです。
別の研究では、20本以上の歯が残っている高齢者は、寝たきりになることが少ないという報告もあるようです。
歯の本数だけでなく歯周病がアルツハイマー型認知症の悪化と関連しているという研究もありますので、認知症の予防のためにも歯の健康維持を心掛けた方が良さそうです。
また、歯がしっかりあるということは食事を美味しくいただけることに繋がります。
歯が少なくなると食事のし辛さが増してしまいストレスを受けかねません。
歯磨きはブラッシングだけでなく、デンタルフロス(歯間ブラシ)を用いるのが効果的です。
ブラッシングだけでは取れない歯垢がありますので最低でも1日1回(とくに夜)は使うようにすると良いでしょう。
運動をする
栄養と並んで認知症の予防のために最も必要で効果的なのが運動です。
運動習慣を持つ人は持たない人に比較してアルツハイマー型認知症の発症が少ないことが実証されています。
ある調査では、あまり歩いていない人は、1日当たり3.2㎞以上歩いている人に比べてアルツハイマー型認知症のリスクが2.2倍あったと報告しています。(参考文献・引用:よくわかる認知症の教科書 長谷川和夫)
運動が脳のためにとても良いことは、多くの脳科学者や神経学者が研究し提唱しているので疑いの余地がありません。
認知症の予防のための運動は、速足のウォーキングなどの有酸素運動、適度な負荷の筋力トレーニング、目を瞑って両手を広げて片足で立つなどの平衡感覚を鍛えるバランストレーニングが勧められています。
またトレーニングをすることは、認知症のリスクを上げる生活習慣病の予防や改善にも繋がります。
楽しさ、気持ちよさが感じられ、適度な負荷で肉体的にも精神的にもストレスが大きくならないような感覚を基準に続けるのがポイントです。
その他の認知症の予防方法
認知症の予防方法としてはさらに以下のようなことがあります。
大きな声で歌う、家族や友人との会話を楽しむ、旅行をする、瞑想をする、読書をする、脳トレ(計算、パズルなど)、アロマセラピー、手芸、釣り、ゴルフ、その他スポーツなど
ストレスにならないように無理せず焦らずに生活に取り入れてみてください。