認知症介護体験談3
62歳から始まった母による義母の介護、執筆者Aさん(介護者の娘)
わたしの母(66歳)は、義母を介護していました。義母はもともと農業をしていて、とても活発な人でした。しかし80歳を超えたころから、老人特有の物忘れなどは時々あったような気がします。
でも毎日自宅裏にある畑にいっては野菜を育てていました。
そんな義母がある時、畑から帰宅した時に小さな段差に躓き転んでしまったのです。
そのあと動くことが出来ず、病院に行きました。
その結果は、足の大転子部骨折でした。すぐに入院となり、「もともと歩くことが出来ていたのだから、手術をしてまた歩けるようになって帰りましょう。」と言われたのですが、義母は血液をサラサラにする薬を飲んでいたためにすぐに手術をすることが出来ず、数日の入院ののち手術をすることになったのです。
骨折から始まった認知症介護
手術前は特に問題なく、穏やかに過ごしていました。
しかし手術が終わると、人が代わったように少し変化していたのです。
自分の名前も分からない、場所も分からない。
医師からは手術の影響により見当識障害で老人には時々見られるということでした。
しかし私たち家族にとってはこの変化は衝撃的でした。
その後少しずつ日にちが経過すると記憶を取り戻し、リハビリを始め車椅子で移動できるようになると、更に以前のような義母に戻ってきたので安心をしていました。
そうなると問題は今後の退院後のことです。
施設はどこもいっぱい、でも退院もしなくてはいけない。
退院をするにはまずバリアフリーの改造をしなくては受け入れることが出来ないというような状況になり、介護保険を申請して、それから認定が下りた後に自宅のバリアフリーを行いました。
また受け入れのためにベットやポータブルトイレなども用意をして義母を母が介護することになったのです。
自宅に帰った義母は以前のように落ち着いた様子で生活をしていました。ただ以前のように畑に出ることはできなくなってしました。
定期的な通院とデイサービスなどを利用しながらそれから3年が経過しました。
癌による入院で認知症の状態が悪化、家族も精神を擦り減らした・・・
認知症もありましたが、以前ほど歩き回らないし、自宅だけの生活で、不穏行動や問題行動はなかったので穏やかな生活をしていたのですが、ある日突然黄疸が。
かかりつけの医師の診察を受けると癌が見つかったのです。
もう高齢であり、末期であるために手術の適応にもなりません。
黄疸の治療のために入院して治療を受けましたが、義母は認知症で理解が出来ず、チューブを抜いたり、問題行動が目立つようになりました。
入院中の付き添いの方が家族は神経を使い疲れ切ってしまいました。
義母は常々自宅に帰りたいと希望を言い、どうせ治らないなら自宅で介護をしようと、医師の訪問看護を受けながら最後まで在宅で過ごすことにしたのです。
在宅介護で精神状態が落ち着いて・・・
在宅に帰ってからの義母はまた落ち着きを取り戻し、今度は倦怠感があるので、ベットからあまり起き上がることのできない生活でしたが、家族も落ち着いて義母を介護することが出来ました。
そして在宅に帰ってから約3カ月ほどで癌のために亡くなったのです。
義母の場合は、入院すると精神症状がひどくなるという特徴があり、最後は自宅で介護することが出来て良かったなと家族全員思っています。